フリートが死んだ
フリートが死んだ。短い命だった。あまりにも突然の別れにツイ廃はどんな顔をすればいいのかわからなかった。
フリート機能は2020年11月に日本で提供開始された。
ツイートとは別に文章や画像などを共有できて、24時間経つと自動的に削除されるというインスタグラムのストーリーが湿っぽくなったような機能だった。
「インスタに憧れている」「そんなことより“○○さんがいいねしました”を廃止しろ」
実装された当時はそんな声が飛び交っていました。
確かに影にひっそりと潜んでいることが好きであろうオタクが集っているツイッターでは不必要な機能なのかもしれない。足跡なんてとんでもない。
実際250人近くフォローしているアカウントでも、フリート機能を日頃から使っていたのは20人くらいだったような気がする。
でも、この20人がなんだかんだめちゃくちゃフリート機能を愛していた。
フリートでは美味しかった食べ物をシェアしたり、別にツイートするまででもないけど…みたいなことをぼやくのに便利だった。
オタク的には24時間で消えることをいいことに「かわちぃだね〜」と頭空っぽの感想を吐き出せるのは有り難かったよね。
一昔前のインターネットではチラ裏呼ばわりされるような発言が許される世界マジ感謝。
気付けば他ジャンルの話をしたり、様々な用途でオタクにも親しまれるようになっていた。
その頃にはフリートの反応がDMに飛んでしまうという賛否両論あった謎仕様も改善されていた。
思い返せばユーザーの声に真摯に耳を傾け、試行錯誤しながらも歩幅を合わせて二人三脚でここまで歩んできたんだな。もうフリートはここにはいないのに…
私は主に頂いたマシュマロをスクショしてまとめて答えるツールとして使ってたけど、これがまぁ楽しくてね。
何よりTLを荒らさずに済む！
しかも5個くらいまとめてスクショすれば一気に返せる！
伏せた方いい内容だって簡単に塗り潰せるから気楽に回答できる！(全部返せてないのは許してほしい)
とは言っても、閲覧数は大体フォロワー数の1/4くらいだった。
アップデートをしていない、非公式アプリを使っている、そもそもフリートに興味がない。
フリートがなくてもやっていけるユーザーの方が多いのが現実なんですよね。
逆にそのくらいの数の方が心地良かったりするんだけどなぁ。
そして7月15日、別れは突然やってくる。
8月3日にフリート機能が終了する。悩んでたなら言ってくれよ。どうしてそんな急に発表するんだよ！
「さよなら、フリート」というややイラっとするタイトルのブログには潔い理由が記されていた。
もし新しいアプローチも模索せず、ときには機能を削除するといった決断もできなければ、大きなチャンスを逃すことになるからです。
侍だ…
Twitter社の中に眠るジャパニーズ・サムライの魂を素直に受け止め、今後提供される機能に期待しよう。
そう思った。
この時までは…
あっという間に訪れてしまった8月3日。
日本時間の13時頃に終了すると予測されていたこともあり、平日の朝だっていうのにTLには悲しみの声が溢れていた。
フリートの小さくなっていく背中に手を振りながら、最後の投稿をする。
ところが、13時になってもまだ見れるのだ。
お前…まだ、生きてるのか……？
どうやらTwitterの本社はサンフランシスコにあるらしく、16時頃に終了するらしい。
フリート上部のバーが点線になっていく。ここからが俺たちのラストスパートだ！
そして案の定、16時になってもまだ見れる。
さすがに戸惑い始めるオタクたち。
19時になっても21時になっても0時になってもバリバリ使えちゃうんだが！？
そんな現象に「死に際の台詞がやたら長いキャラ」「垢消しを匂わせてなかなか消さないメンヘラちゃん」って大喜利始まっちゃうところがツイッターだよね。大好き。
別れの挨拶を交わしたのに何度も後ろを振り返って微笑んでくるフリートに、いつまで手を振り続ければいいのかわからなくなってしまい、若干の気まずさを感じながら寝た。
目が覚めたらもう、フリートはいなくなっていた。ぬるっとしたお別れだった。
最後の最後までオタクを楽しませてくれたフリートに心から敬意を表します。
フリートの魂はいつまでも心に生き続けるよ。
さよなら、フリート。
ありがとう、フリート。
一度フリートの快感を覚えてしまったオタクはまた同じ快感を求めてインスタに手を出してしまうかもしれない。
スペースだってきっともう時間の問題だ。
いいのかよっ…！それでっ……！！
なんとか言えよ！
返事してくれよ！引き止めてくれよ！Twitter……！！
